▼古書商ヴォイニッチの発見
1912年、古書商ウィルフリッド・ヴォイニッチは、イタリア・フラスカーティのモンドラゴーネ荘でこの本を手に入れた。以後、本は彼の名で呼ばれるようになった。
本には1665年か1666年に書かれた手紙が添えられていた。そこには、神聖ローマ皇帝ルドルフ2世がこの本を600ドゥカートで買ったと記されているが、この話は確かめられていない。
▼読めない文字と不思議な絵
現存するのはおよそ240ページで、植物、天文、入浴する女性たちの図、薬草の調合、文章だけのページなどに分けられている。植物の絵の多くは、実在のどの植物とも一致しない。
米国の著名な暗号解読者ウィリアム・フリードマンも挑んだが、解読はできなかった。これまでに何度も「解読した」という発表があったが、広く認められたものは一つもない。
▼15世紀の羊皮紙
2009年、アリゾナ大学が羊皮紙を放射性炭素で年代測定し、1404年から1438年の間に作られたものだと分かった。近代の偽作ではないかという疑いは、これで大きく後退した。
本は1969年に古書商ハンス・P・クラウスからイェール大学に寄贈され、「MS 408」として保管されている。いまも世界中の研究者や愛好家が、この謎に挑み続けている。
正体をめぐる諸説
- 壱
未知の言語・暗号説
失われた言語や、独自の暗号で中身が書かれているとする説。どれも決定的な解読には至っていない。
- 弐
でたらめな文字列説
意味のない文字を並べて作った、当時の珍品や詐欺の品だったとする見方。羊皮紙は15世紀のものと分かっている。
- 参
異世界・超古代の知識説
地上にない植物を描いた、別の世界や失われた文明の知識の書だとするオカルト的な説。
