▼峠の山林に現れた大蛇
1973年5月、剣山のふもとにある美馬郡穴吹町(現在の美馬市)の山中で、山仕事をしていた町議会議員らが、全長10メートル余り、直径30センチメートルほどの大蛇を見たと報告した。知らせを受けた町役場などが周りを調べると、大蛇が通った跡のようなものが見つかった。
目撃の場となった剪宇峠(きりうとうげ)は、穴吹町古宮とつるぎ町一宇の境にある標高約870メートルの峠である。この峠の近くでは複数の人が同時に大蛇を見たとされ、幅約40センチメートルの這った跡のようなものも見つかったという。
▼見つからなかった大蛇
騒ぎは大きくなり、100人を超す捜索隊が結成されて山に入ったと伝えられる。しかし大蛇は見つからず、その後どこへ行ったのかも分かっていない。
日本に棲む最も大きなヘビはアオダイショウで、長さは1〜2メートルほどにとどまる。10メートル級のヘビは日本の在来種にはおらず、目撃談の正体はいまも謎のままである。
正体をめぐる諸説
- 壱
逃げ出した外国産の大蛇説
サーカスや見世物小屋から逃げたアナコンダなどの大蛇が、日本の気候になじめず死んだのではないかとする、作家の山口敏太郎の見方。
- 弐
見間違い説
倒木や大きめのアオダイショウなどを、山中の暗がりで実際より大きく見誤ったとする説。
- 参
山の主の大蛇説
霊峰剣山には昔から大蛇の言い伝えがあり、山の主が姿を見せたのだとする伝説的な見方。
