▼テーヨの大発見
ペルーの考古学者フリオ・C・テーヨは、1925年にパラカス半島の遺跡を初めて訪れ、1927年10月にはセロ・コロラド一帯で大規模な墓地(ネクロポリス)を掘り当てた。そこには布に包まれ、座った姿勢で葬られた400を超える遺体の包みが眠っていた。
遺体を包んでいた色鮮やかな刺繍の布は、アンデスの古代社会でも屈指の織物とされる。乾ききった砂漠の気候が、布と遺体を2000年以上も守ってきたのである。
▼頭の形を変える風習
掘り出された頭蓋骨の多くは、人工的に形を変えられていた。幼いころに頭を板や布で縛り、成長とともに長い形にする「頭蓋変形」の風習で、世界の多くの地域で行われてきたことが知られている。
パラカスの人々は、紀元前800年ごろから紀元前後にかけてこの地で栄えた。頭の形は、身分や出自を示すしるしだったと考えられている。頭蓋骨に穴をあける外科的な処置(穿頭術)の跡も多く見つかっている。
▼「別の人類」の噂
21世紀に入ると、地元の私設博物館などから、頭蓋骨は普通の人間より大きく重い、遺伝子に未知の変異がある、といった主張が発信された。インターネットを通じて、長頭骨は宇宙人や別の人類の骨だという話が広まった。
しかし、これらの主張は査読のある学術論文として示されたものではない。研究者の多くは、長い頭は縛って形を変えた人間の頭蓋骨であると考えている。
正体をめぐる諸説
- 壱
頭蓋変形の風習説(定説)
幼児の頭を縛って形を変える、世界各地にあった風習によるとする考古学の見方。
- 弐
別の人類説
長い頭は人工の変形ではなく、未知の人類が生まれつきもっていた形だとする説。
- 参
宇宙人・混血説
地球外の存在、あるいはその血を引く人々の骨だとするオカルト的な説。
