▼海の上の石の都
ナン・マドールは、ポンペイ島のテムエン島沿岸の礁湖に築かれた遺跡だ。およそ1.5キロ×0.5キロの範囲に、水路で区切られた人工島が並び、「太平洋のベニス」とも呼ばれる。
島々は、柱状の玄武岩を、縦と横に交互に組んで積み上げて造られている。王の墓所とされるナン・ドーワスは二重の壁に囲まれ、壁の高さは5.5〜7.5メートルに達する。
▼シャウテレウル朝の盛衰
ナン・マドールは、ポンペイ島を治めたシャウテレウル朝の中心だった。大きな石造りが始まったのは1180〜1200年ごろとみられ、王朝は17世紀ごろまで続いたと考えられている。
伝承では、英雄イショケレケルが333人の仲間とともに攻め上り、シャウテレウル朝を倒したという。その後、遺跡は次第に使われなくなった。
▼空飛ぶ竜と、ムー大陸の噂
伝説によれば、ナン・マドールを築いたのは西方からやってきたオロシーパとオロショーパという双子の魔術師で、空飛ぶ竜の力で巨石を浮かせて運んだという。重い石をどう運んだかは、今も完全には分かっていない。
オカルトの世界では、ナン・マドールを失われたムー大陸の名残とする説も語られてきた。しかし考古学では否定されている。遺跡はいま、マングローブの繁茂や土砂の堆積に脅かされ、危機遺産のままである。
正体をめぐる諸説
- 壱
ムー大陸の遺跡説
ナン・マドールは太平洋に沈んだとされるムー大陸の文明の名残だとする説。年代が新しすぎるとして考古学では否定されている。
- 弐
魔術・超常の力説
伝説のとおり、双子の魔術師が超常の力で巨石を宙に浮かせて運んだとする説。
- 参
人力の土木技術説
いかだや梃子、浮力などを使い、長い年月をかけて人の手で石を運び積み上げたとする見方。
