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ループクンド湖のイメージNo.57
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ループクンド湖

骸骨の湖・ミステリー湖

ヒマラヤの氷河湖に眠る数百人の遺骨! 古代DNAが明かした、千年をへだてた二つの集団

インド・ウッタラーカンド州、標高5000メートルを超えるヒマラヤの山中に、小さな氷河湖ループクンドがある。湖のまわりには、数百人分の人骨が散らばっている。いつ、誰が、なぜこの地で亡くなったのか。地元では「骸骨の湖」とも呼ばれてきた。

現場
インド ウッタラーカンド州チャモリ県 ループクンド湖
初出
800年ごろ
怪奇度
★★★★★

▼雪解けの湖畔に現れた遺骨

ループクンドは、トリシュール山とナンダグンティ山の間、標高約5020メートルにある氷河湖だ。1942年、森林警備の職員がこの湖のほとりで多くの人骨を見つけ、広く知られるようになった。

遺骨は300人以上にのぼるとされる。湖は聖なる山ナンダ・デヴィの巡礼の道にあり、12年に一度の巡礼「ナンダ・デヴィ・ラージ・ジャート」では、ループクンドでも祈りが捧げられる。

▼古代DNAが示した二つの時代

2019年8月、国際的な研究チームが学術誌『Nature Communications』に、38人分の遺骨の古代DNAと放射性炭素年代の分析を発表した。人々は三つの集団に分かれていた。

現在の南アジアの人々に近い23人は、いずれも西暦800年ごろのものだった。一方、東地中海の人々に典型的な祖先を持つ14人と、東南アジアに関係する祖先を持つ1人は、1800年ごろのものだった。南アジアの集団も、一度に亡くなったのではない可能性が示された。

▼なお残る謎

かつては、巡礼の一行が大きなひょうを伴う嵐に遭い、一度に命を落としたと考えられていた。だが研究は、遺骨が同時に残されたものではないことを示した。

1800年ごろ、なぜ東地中海にゆかりのある人々がヒマラヤの奥地にいたのかは、まだ分かっていない。湖畔の遺骨は、名も知られぬ人々の最期の地として、静かに眠り続けている。

正体をめぐる諸説

  • 壱

    ひょうの嵐説

    巡礼の一行が激しいひょうを伴う嵐に襲われ、逃げ場のない湖畔で亡くなったとする説。少なくとも一部の死を説明するものとして語られてきた。

  • 弐

    複数の出来事説

    古代DNAと年代の分析が示すとおり、千年をへだてた複数の出来事で人々が亡くなったとする見方。

  • 参

    巡礼・旅の途上説

    人々はナンダ・デヴィの巡礼や山越えの旅の途中で、高地の厳しい環境に倒れたとする見方。1800年ごろの集団の来歴は分かっていない。