▼動物学者の仮説
1864年、イギリスの動物学者フィリップ・スクレーターは論文「マダガスカルの哺乳類」で、キツネザルの化石がマダガスカルとインドでは見つかるのに、アフリカや中東では見つからないことに注目した。
そこで彼は、かつて大西洋とインド洋にまたがる大きな大陸があり、それが分かれて沈んだのではないかと考え、キツネザル(レムール)にちなんで「レムリア」と名づけた。
▼人類の故郷から神秘の大陸へ
1870年、ドイツの生物学者エルンスト・ヘッケルはこの考えを広げ、レムリアを人類の祖先が生まれた故郷とした。
1888年には、神智学の創始者ヘレナ・P・ブラヴァツキーが『シークレット・ドクトリン』で、レムリアに人類以前の「第三根源人種」が暮らしていたと説いた。こうしてレムリアは、科学の仮説から、失われた超古代文明の大陸へと変わっていった。
▼大陸移動が解いた謎
20世紀にプレートテクトニクスと大陸移動の考えが受け入れられると、沈んだ大陸を考える必要はなくなった。マダガスカルとインドは、かつて超大陸ゴンドワナの中で実際につながっており、その後プレートの動きで離れたのである。
それでもレムリアは神秘思想の中で生き続けた。タミル語の文学では海に沈んだ伝説の地「クマリ・カンダム」と結びつけられ、アメリカ・カリフォルニア州のシャスタ山の地下都市にレムリア人の生き残りが暮らすという信仰も生まれた。
正体をめぐる諸説
- 壱
大陸移動による説明(定説)
マダガスカルとインドはゴンドワナ大陸の一部としてつながっていた。沈んだ大陸は必要ないとする現在の地質学の見方。
- 弐
沈んだ陸橋説(否定)
インド洋に大陸や陸の橋があり、のちに沈んだとするスクレーターの時代の仮説。
- 参
超古代文明の大陸説
人類以前の種族が高度な文明を築いた大陸が沈んだとする、神智学などの神秘思想の説。
