▼シュヴァーベンラント号の探検
1938年12月17日、アルフレート・リッチャーが率いるドイツの南極探検隊は、船「シュヴァーベンラント号」でハンブルクを出港した。1939年1月19日にプリンセス・マーサ海岸に着くと、飛行機で内陸を飛び、1万6000枚を超える航空写真を撮影した。
探検した地域は、船の名にちなんで「ノイシュヴァーベンラント(新シュヴァーベン)」と呼ばれた。そこはノルウェーが領有を主張するクイーン・モード・ランドの一部で、リッチャー高地など、ドイツ語の地名が今も残っている。
▼生まれた秘密基地伝説
戦後、ナチスがこの地の氷の下に巨大な秘密基地を造り、生き残りがそこに隠れているという伝説が広まった。基地は地熱で保たれているとされ、「基地211」という名でも語られる。
1970年代には、エルンスト・ツンデルが出版社を通じて、空飛ぶ円盤はナチスの秘密兵器で、南極の地下基地から発進するという本を出した。1978年にはチリの外交官ミゲル・セラーノが『黄金の紐』で、ヒトラーが南極の地下基地にいて、UFOの艦隊を率いて第四帝国を築くと書いた。
▼基地はなかった
記録の上では、ドイツはこの地域の領有を正式に主張したことはなく、恒久的な施設も造らなかった。ドイツがこの地に初めて基地を置いたのは、戦後の1981年、西ドイツの観測基地「ゲオルク・フォン・ノイマイヤー基地」である。
秘密基地の存在を示す確かな証拠はなく、伝説は、実際の極地探検と、戦後に書かれた空想的な本とが結びついて生まれたものと考えられている。
正体をめぐる諸説
- 壱
戦後の創作説(有力)
実際の南極探検に、戦後のナチス賛美者らが書いた空想的な本が結びついて生まれたとする見方。
- 弐
秘密基地実在説
ナチスが南極の氷の下に基地を築き、戦後も生き残りが潜んでいたとする説。
- 参
ナチスのUFO開発説
空飛ぶ円盤はナチスの秘密兵器で、南極の基地から発進していたとする説。
