▼石の柱が並ぶ山頂
グヌン・パダンは、チアンジュールの南西約50キロメートル、標高885メートルの丘の上にある巨石遺跡である。火山岩の六角柱状の石を使った5つの段が、北西から南東へ一直線に並んでいる。
1890年に報告され、1914年にはオランダの考古学者N・J・クロムが記録したが、その後は忘れられ、1979年に地元の農民によって再び見いだされた。
▼2万7000年前という主張
2022年、Netflixの番組『太古からの啓示(Ancient Apocalypse)』がこの遺跡を取り上げ、氷河期の失われた文明と結びつけて紹介した。
2023年10月、インドネシアの地質学者らは学術誌『Archaeological Prospection』に、丘の内部の土の放射性炭素年代などから、遺跡は2万7000年前までさかのぼる「世界最古のピラミッド」だとする論文を発表した。
▼2024年の撤回
2024年3月、出版社ワイリーはこの論文を撤回した。年代を測った土の試料が、人の手が加わったと確かに言える遺物と結びついていなかったことが理由とされた。
考古学者の多くは、遺跡の段や石の配置は紀元後の時代に造られたものと考えている。土の古さと、遺跡が造られた古さは別のものなのである。
正体をめぐる諸説
- 壱
紀元後の建造説(通説)
遺跡は紀元後の数世紀のうちに、自然の丘を利用して段を築いたものとする考古学者の見方。
- 弐
自然の地形を利用した説
丘そのものは火山の地形で、内部の層は人工の構造ではないとする地質学的な見方。
- 参
氷河期の失われた文明説
丘の内部には2万年以上前の人々が築いた構造が眠っているとする説。根拠とされた論文は撤回されている。
