▼230万個の石を積んだ王墓
大ピラミッドは、古王国時代の第4王朝のクフ王のために、紀元前2600年ごろ、約26年をかけて築かれたと考えられている。高さは建造時に約146.6メートル、現在は約138.5メートル。底辺は1辺約230メートルあり、約230万個の石灰岩のブロックが使われた。
その精度は驚くべきもので、底辺の長さの誤差は平均わずか58ミリ、4辺は東西南北に対して3分38秒角以内の誤差でそろえられている。1221年にイングランドの旧セント・ポール大聖堂に抜かれるまで、3700年以上も人の造った最も高い建造物だった。
▼内部の部屋と「ビッグ・ボイド」
内部には、花崗岩の石棺が置かれた「王の間」、「女王の間」、天井の高い「大回廊」、未完成の地下室がある。いずれも、何のための部屋なのかを巡って長く議論されてきた。
2015年に始まった国際調査「スキャンピラミッド」は、宇宙から降りそそぐ素粒子ミューオンを使って内部を透視した。2017年11月には大回廊に匹敵する大きさで長さ30メートル以上の未知の空洞「ビッグ・ボイド」を見つけたと科学誌『ネイチャー』で発表し、2023年3月には入口の奥にもう一つ回廊状の空洞があることを確かめた。
▼神秘の数字を求めて
19世紀には、ピラミッドの寸法に神の啓示や予言が隠されているとする「ピラミッド学」が流行した。1859年にジョン・テイラーが、1864年には天文学者チャールズ・ピアッツィ・スマイスが著書でそうした説を唱え、スマイスは独自の単位「ピラミッド・インチ」を持ち出した。
しかし1880年から測量を行ったフリンダーズ・ピートリーは、ピラミッドが考えられていたより小さいことを示し、こうした説を否定した。一方、2013年に紅海沿岸のワディ・アル・ジャルフで見つかった世界最古級のパピルス「メレルの日誌」には、トゥラの石切り場からギザへ石灰岩を船で運んだ記録が残っており、建設の実際を伝える手がかりとなっている。
正体をめぐる諸説
- 壱
クフ王の墓説(通説)
第4王朝のクフ王の墓として、エジプトの人々が国家事業として築いたとする定説。「メレルの日誌」などが建設の様子を裏づける。
- 弐
ピラミッド学
寸法や比率に神の啓示や未来の予言が込められているとする19世紀の説。ピートリーの測量で否定された。
- 参
オリオン座相関説
ギザの三大ピラミッドの配置がオリオン座の三つ星を写したものだとする、ロバート・ボーヴァルらの説。学界では受け入れられていない。
