▼一枚の亜麻布
聖骸布は長さ約4.4メートル、幅約1.1メートルの亜麻布で、杉綾織りで織られている。布には、裸の男の前面と背面の姿が淡い褐色で浮かんでいる。
記録に初めて現れるのは1354年ごろ、フランスのリレにあった教会で、騎士ジョフロワ・ド・シャルニーのもとで公開された。1389年には、地元の司教が「巧みに描かれたもの」とする覚え書きを残している。
▼ネガに現れた顔
布は15世紀にサヴォイア家のものとなり、1532年にはシャンベリーの火災で焦げ跡を負った。1578年にトリノへ移され、以後この町にある。
1898年5月28日、写真家セコンド・ピアが布を撮影したところ、ネガの上に、肉眼では見えないほどはっきりとした男の顔と体が現れた。この発見から、布は科学的な関心も集めるようになった。
▼炭素年代と、信仰
1988年、オックスフォード、アリゾナ、チューリッヒの3つの研究所が放射性炭素による年代測定を行い、布の年代を西暦1260〜1390年と示した。これは布が記録に初めて現れる時期と重なる。
1983年に旧イタリア国王ウンベルト2世の遺言で教皇に遺贈された布は、いまカトリック教会が管理している。教会は本物かどうかについて公式の判断を示しておらず、多くの信徒にとって祈りの対象であり続けている。
正体をめぐる諸説
- 壱
中世に作られた説
1988年の放射性炭素年代測定の結果から、布は13〜14世紀に作られたとする見方。
- 弐
キリストの埋葬布とする信仰
十字架で亡くなったイエスを包んだ布で、その姿が写し取られたとする受けとめ方。
- 参
試料の偏り説
測定に使った部分が後の修理で補われた布だったため、年代が若く出たとする説。
