▼空が裂けた朝
爆発が起きたのは、ポドカメンナヤ・ツングースカ川の流域に広がる人の少ない森林地帯だった。遠く離れた村でも、空を横切る火の玉と轟音、窓を揺らす爆風が伝えられ、各地の観測所が地震のような揺れや気圧の変化を記録した。
爆発で約2150平方キロメートルの森が倒され、その数はおよそ8000万本にのぼると見積もられている。爆発の規模は、広島に落とされた原爆の千倍ほどにあたるという推定もある。
▼クーリックの探検
辺境の地で、しかも革命や戦争の混乱が続いたため、本格的な調査は長く行われなかった。1927年、鉱物学者レオニード・クーリックがようやく現地にたどり着き、倒れた木々が中心から外に向かって放射状に並んでいることを確かめた。
しかし、巨大な隕石が落ちたはずの穴も、隕石のかけらも見つからなかった。土地の先住民エヴェンキの人々のあいだでは、雷の神が怒って火を放ったと語られていたともいう。
▼宇宙船の核爆発?
クレーターのない大爆発は、さまざまな想像をかき立てた。ソ連の作家アレクサンドル・カザンツェフは、異星人の原子力宇宙船が上空で爆発したという小説を書き、この説は広く知られるようになった。
現在の科学では、小惑星や彗星の破片が地上に届く前に大気中で爆発した「空中爆発」とする見方が主流である。地面に穴が開かなかったのはそのためだと説明される。ただ、それが石の小惑星だったのか、氷の彗星だったのかは、いまも議論が続いている。
正体をめぐる諸説
- 壱
小惑星の空中爆発説(有力)
数十メートル級の小惑星が上空数キロで爆発し、その衝撃波が森をなぎ倒したとする説。
- 弐
彗星衝突説
氷を主とする彗星のかけらが大気中で蒸発・爆発したため、破片がほとんど残らなかったとする説。
- 参
宇宙船爆発説
異星人の原子力宇宙船が事故で爆発したとするSF的な説。小説から広まったもので、裏付けはない。
