▼四国の屋根にそびえる霊峰
剣山は標高1,954.65メートル、徳島県の最高峰で、日本百名山にも数えられる。山頂付近には劔山本宮宝蔵石神社があり、「宝蔵石」と呼ばれる大きな岩が祀られている。
宝蔵石という名からも、山に宝が眠るという想像はかき立てられてきた。この山を舞台に、日本と古代イスラエルを結びつける壮大な伝説が生まれる。
▼秘宝を掘った人々
元教師で聖書を研究していた高根正教は、剣山にソロモン王の秘宝、失われたアークが埋まっていると考え、昭和11年(1936年)から山頂付近で発掘を始めた。
戦後には、元海軍大将の山本英輔が発掘隊を組み、山中を掘り進めた。1952年ごろには数体のミイラが見つかったとの噂も流れたが、確かな記録は残っていない。1957年からは宮中要春が20年にわたり掘り続けたものの、県から発掘中止を求められ、成果のないまま終わった。
▼伝説はなぜ剣山に
アークは、モーセの十戒を刻んだ石板を納めたと旧約聖書が語る箱で、古代イスラエルの滅亡とともに行方が分からなくなったとされる。そのアークが海を越えて四国の山に隠されたという話は、日本人とユダヤ人の祖先を同じとする「日ユ同祖論」と深く結びついている。
学術的にはアークが日本に渡った証拠はない。それでも、山頂の岩と霊山の神秘が、人々を地下の秘宝へと駆り立て続けた。
正体をめぐる諸説
- 壱
アーク埋蔵説
古代イスラエルの契約の箱が、はるばる日本へ運ばれ、剣山の地下に隠されたとする説。
- 弐
日ユ同祖論との結合説
日本人と古代イスラエル人の祖先が同じとする日ユ同祖論から、剣山に秘宝が眠るという物語が生まれたとする見方。
- 参
山岳信仰の宝伝説説
霊山に宝が眠るという日本古来の山岳信仰の伝承に、聖書の物語が重ね合わされたとする見方。
