▼古典に記された山の巨人
中国の古典には、山に棲む人に似た異形の存在がたびたび登場する。戦国時代の詩人・屈原の『楚辞』九歌に歌われる「山鬼」や、地理書『山海経』の怪人たちを、野人の古い記録とみる研究者もいる。神農架は、その楚の国があった地域にある。
▼幹部6人の目撃
1976年5月14日の深夜、会議から戻る途中のジープで神農架の山道を走っていた林区の幹部ら6人が、道に現れた赤茶色の毛の大きな生き物を間近で目撃したと報告した。クマでもサルでもない、見たことのない動物だったという。複数の公職者による証言は大きな反響を呼んだ。
これを受けて中国科学院の研究所などが調査隊を組織し、1970年代後半にかけて神農架の山中を探索した。調査隊は数多くの足跡や毛髪を集めたものの、野人そのものを捕らえることはできなかった。
▼いまも続く探索
その後も目撃や足跡の報告は散発的に続き、神農架は「野人の里」として知られるようになった。2016年に世界自然遺産に登録されたこの森の奥で、巨人はいまも人の目を避けて暮らしているのだろうか。
正体をめぐる諸説
- 壱
大型霊長類の誤認説
キンシコウ(ゴールデンモンキー)などのサルや、立ち上がったクマを見間違えたとする説。
- 弐
ギガントピテクス生存説
中国南部で化石が見つかっている巨大類人猿ギガントピテクスが、奥地で生き残っているとする説。
- 参
古代の巨人族説
伝説上の巨人の一族が山中に隠れ住んだという民間伝承と結びつける説。
