▼キャスターから陰謀論者へ
デーヴィッド・アイクは1952年にイギリスのレスターで生まれた。サッカーのゴールキーパーを経て、1981年から1990年までBBCでスポーツ番組の司会などを務め、1980年代半ばには緑の党の全国スポークスマンにもなった。
1991年、アイクはBBCのトーク番組で自分は「神の子」だと語り、世界の破局を予言して嘲笑を浴びた。1995年以降は陰謀論の本を自費出版で20冊以上出している。
▼『大いなる秘密』の主張
アイクは1999年の著書『大いなる秘密(The Biggest Secret)』で、りゅう座アルファ星から来た、血を飲み姿を変える背の高い爬虫類型の人型生物が地下基地にひそみ、人間に化けて権力を握っていると主張した。各国の王室や政治家、資産家の一族もその仲間だとしている。
人間に化ける「蛇人間」という発想自体は、ロバート・E・ハワードの1929年の小説「影の王国」にすでに登場している。
▼広がりと批判
アイクの説は数十か国に支持者を持ち、講演には最大6000人が集まった。2013年のアメリカの世論調査では、有権者の4%がこの説を信じると答えた。
一方で、アイクは『シオン賢者の議定書』を支持するなど、反ユダヤ主義だと広く批判されている(本人は否定)。2019年にはオーストラリアが入国ビザを取り消し、2022年にはオランダが2年間の入国禁止を決めた。爬虫類人が実在するという証拠は何も示されていない。
正体をめぐる諸説
- 壱
創作の影響説
人間に化ける爬虫類の話は、1929年の「影の王国」などパルプ小説やSFの発想を下敷きにしているとする見方。
- 弐
反ユダヤ陰謀論の言い換え説
「秘密の血筋が世界を支配する」という筋立ては、古い反ユダヤ主義の陰謀論を宇宙人に置き換えたものだとする批判。
- 参
爬虫類人実在説
王族や政治家は人間に擬態した爬虫類型宇宙人だとするアイクの主張。証拠は示されていない。
