▼「新しい世界秩序」という言葉
「新世界秩序」という言葉自体は古く、イギリスの作家H・G・ウェルズは1928年の『公然たる陰謀』や1940年の『新世界秩序』で、技術者や専門家による世界的な統治を唱えた。
1990年9月11日、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領は上下両院合同会議の演説で、冷戦後に「新しい世界秩序」が生まれる見通しを語った。
▼陰謀論としての広がり
1991年、テレビ伝道師のパット・ロバートソンが著書『新世界秩序』を出し、キリスト教の終末論と結びついた陰謀論として広めた。この本は、アメリカの陰謀論文化の柱の一つになったと評されている。
1990年代には、陰謀論者たちの言葉がAMラジオや銃の展示会、初期のインターネットの掲示板で広がり、アメリカの民兵運動の高まりにつながった。
▼研究者の警告
政治学者マイケル・バーカンや調査報道記者チップ・バーレットは、新世界秩序の陰謀論が大衆文化にしみ込み、単独犯のテロや権威主義的な扇動者の台頭を後押ししかねないと警告している。
世界政府による人類支配の計画が存在するという主張には、それを裏づける証拠は示されていない。
正体をめぐる諸説
- 壱
言葉の拡大解釈説(有力)
国際協調を語った政治家の言葉が、終末論や既存の陰謀論と結びついて「支配計画」の証拠として読み替えられたとする見方。
- 弐
終末論との結合説
聖書の終末預言と重ねて、世界政府の誕生を反キリストの到来とみなすキリスト教系の陰謀論。
- 参
エリートの世界政府説
少数の権力者が世界政府を作って全人類を監視・支配しようとしているとする陰謀論。証拠は示されていない。
