▼UFO研究家への手紙
話の出どころは、カール・M・アレン(カルロス・ミゲル・アジェンデとも名乗った)という男が、1956年にUFO研究家モリス・K・ジェサップへ送った手紙である。
アレンは、1943年に米海軍が駆逐艦エルドリッジを見えなくする実験を行い、船が姿を消して移動するのを目撃したと書いた。のちに、船員が船体と一体になったといった話も付け加わっていった。
▼記録との食い違い
エルドリッジが就役したのは1943年8月27日で、9月まではニューヨークにいた。実験があったとされる10月28日ごろは、バハマでの最初の試験航海の最中だった。
海軍研究局は1996年、1943年にも他のどの時期にもレーダーに映らなくする研究は行っていないと述べ、研究局自体が1946年までなかったことも指摘した。1999年には、エルドリッジの元乗組員たちが、船はフィラデルフィアに寄港したことがないと地元紙に語っている。
▼「からかうため」だった
唯一の「目撃者」であるアレンには精神的な病の経歴があり、知人からは人をかつぐのが上手な人物とも言われていた。1969年、彼はジェサップの本の余白に書き込みをしたのは自分で、「ジェサップをひどく怖がらせるため」だったと認めた。
それでも話は本や1984年の映画によって広まり、今も代表的な都市伝説として語られている。
正体をめぐる諸説
- 壱
作り話説(定説)
唯一の情報源であるアレンの創作で、船の記録とも食い違うとする見方。
- 弐
消磁実験の誤解説
当時、船を機雷から守るために磁気を消す処置が行われており、これが「見えなくする実験」と誤って伝わったとする説。
- 参
極秘実験の隠蔽説
海軍が透明化やテレポートの実験を行い、それを隠しているとする主張。裏づけはない。
