▼TNT地区の赤い目
1966年11月15日の深夜、2組の若い夫婦が、町の北にある第二次世界大戦中の火薬工場跡、通称「TNT地区」の近くを車で走っていた。そのとき、灰色の大きな人影が、赤く光る目でこちらを見ているのに気づいた。
慌てて車を走らせると、怪物は翼を広げて舞い上がり、車を追ってきたという。翌日にはこの話が地元紙に載り、その後も町の周辺で同じような目撃が相次いだ。怪物は、当時人気だったテレビ番組『バットマン』にちなみ、新聞で「モスマン」と呼ばれるようになった。
▼シルバー・ブリッジの崩落
1967年12月15日の夕方、ポイント・プレザントとオハイオ州を結ぶシルバー・ブリッジが、帰宅ラッシュの車を乗せたまま崩れ落ち、46人が犠牲となった。調査の結果、吊り橋を支える鎖の部材「アイバー」のひとつに生じた小さな亀裂が原因と結論づけられ、この事故をきっかけに全米で橋の定期点検の制度が整えられた。
作家ジョン・キールは、1975年の著書『The Mothman Prophecies』で、町で起きた怪現象と橋の崩落を結びつけて描いた。モスマンは悲劇を告げに現れた存在だったのではないか──という物語は、2002年にリチャード・ギア主演で映画化され(邦題『プロフェシー』)、世界中に知られることになった。
▼伝説と生きる町
崩落の後、モスマンの目撃はほとんど途絶えたといわれる。現在のポイント・プレザントは怪物を町の顔として迎え入れ、2002年からは毎年「モスマン・フェスティバル」を開催、2003年には町の中心に高さ約3.7メートルのステンレス製モスマン像が建てられた。
正体をめぐる諸説
- 壱
大型の鳥の誤認説
渡りの経路を外れたカナダヅルや、フクロウ類を見間違えたとする説。ライトを反射した鳥の目が赤く光って見えたと考えられている。
- 弐
凶事の使者説
モスマンは大きな災害の前に現れ、それを告げる存在だとする説。キールの著作で広まった。
- 参
異次元生物説
同じ時期に報告されたUFOや怪人物の目撃と結びつけ、別の次元から来た存在だとする説。
