▼相次いだ家畜の死
1995年3月、プエルトリコで、ヒツジが小さな刺し傷を残して死んでいるのが見つかったと報じられた。家畜の体からは血が抜かれていたとされ、同じような被害の報告はその後も島の各地に広がった。とくに島の北東部のカノバナスでは、その年のうちに150頭を超える動物の被害が怪物のしわざとされた。
島では1970年代にも、家畜の謎の死が相次いで騒ぎになったことがあったといわれる。
▼目撃者が語った姿
1995年8月、カノバナスに住むマデリン・トレンティーノが、怪物を目撃したと証言した。大きな赤い目、鋭い爪、背中に並ぶトゲ。二本足で立ち、カンガルーのように跳ねて移動したという。この証言が、チュパカブラの姿として世界中に広まった。
カノバナスの町長は、檻に入れたヤギをおとりに、住民とともに山野を捜索したといわれる。しかし、怪物が捕らえられることはなかった。騒ぎはやがて中南米やアメリカ南部にも飛び火し、各地で「チュパカブラの死体」が報告されるようになる。
▼映画の怪物と毛の抜けたコヨーテ
懐疑派の調査者ベンジャミン・ラドフォードは、5年をかけた調査をまとめた2011年の著書で、トレンティーノの証言は、同じ1995年に公開されたSFホラー映画『スピーシーズ』の怪物によく似ていると指摘した。彼女自身もこの映画を見ていたという。
また、アメリカなどで見つかった「チュパカブラの死体」をDNAで調べると、多くは皮膚病で毛が抜け落ちたコヨーテやイヌだったと報告されている。それでも、最初の島で家畜を襲ったものの正体は、いまも完全には語り尽くされていない。
正体をめぐる諸説
- 壱
野犬・病気のコヨーテ説
野犬やコヨーテが家畜を襲い、皮膚病で毛の抜けた姿が怪物に見えたとする説。DNA調査の結果もこれを支持する。
- 弐
映画の影響説
目撃証言の姿は、同じ年に公開された映画『スピーシーズ』の怪物の影響を受けているとする説。
- 参
宇宙生物・実験生物説
宇宙から来た生物や、秘密の研究施設から逃げ出した実験生物だとする説。
