▼岐阜から全国へ
口裂け女の噂は、1978年の暮れに岐阜県で広まり始めたとされる。翌1979年になると、噂は子どもたちの口から口へと伝わって、わずか数か月で全国に広がった。週刊誌や新聞も取り上げ、社会現象となった。
各地で「近所に出た」という話が飛び交い、集団で下校させる学校や、見回りをする地域まで現れたと伝えられる。
▼「わたし、きれい?」
噂の筋書きはこうだ。マスクの女に「わたし、きれい?」と聞かれて「きれい」と答えると、女はマスクを外し、耳元まで裂けた口を見せて「これでも?」と迫る。答えを誤ると追いかけられる。
噂には撃退法もついていた。「ポマード」と3回唱える、べっこう飴を投げる、「普通」と答える──。地域によって内容は少しずつ違い、噂が語られるたびに形を変えていったことがわかる。
▼噂はなぜ広がったのか
口が裂けた女の怪異は江戸時代の話にも見られるといわれ、古い伝承が現代によみがえったとする見方もある。一方で、塾通いが増えて夜に一人で帰る子どもが多くなった時代の不安が、この怪異を生んだとも考えられている。
正体をめぐる諸説
- 壱
古い伝承の復活説
江戸時代などに語られた口の裂けた女の怪異が、昭和の世に形を変えてよみがえったとする説。
- 弐
社会不安の反映説
夜道を一人で帰る子どもの不安や、大人の目が届かない時間への恐れが噂を生んだとする説。
- 参
目撃実在説
噂のもとになった、マスク姿の不審な女性が実際にいたとする説。
