▼墜落機を探す飛行の途中で
アーノルドはアイダホ州ボイシで消火設備の会社を営む実業家で、自家用機コールエアーA-2を操縦していた。その日は、懸賞金5000ドルがかけられた行方不明の米海兵隊C-46輸送機を探して飛んでいた。
午後3時ごろ、レーニア山からアダムズ山の方角へ、9つの光る物体が編隊を組んで飛んでいくのが見えた。山と山の距離から計ると、時速1700マイルを超える速さになったが、本人は控えめに時速1200マイルと報告した。
▼「水面を跳ねる皿のように」
翌25日、オレゴン州ペンドルトンの新聞『イースト・オレゴニアン』の記者ビル・ベケットがアーノルドに話を聞いた。アーノルドは、物体が「水面に投げた皿が跳ねるように」動いたと語ったが、これは形ではなく動き方のたとえだった。
ところが26日から27日にかけて各地の新聞に「空飛ぶ円盤(フライング・ソーサー)」という言葉が現れ、一気に広まった。この言葉は本人ではなく、新聞の編集者が作ったものと考えられている。
▼UFO時代の幕開け
報道の後、数週間のうちにアメリカ各地で似た目撃の報告が数百件も寄せられた。同じ年の7月には、ロズウェルで「空飛ぶ円盤の回収」が発表される騒ぎも起きている。
陸軍航空軍は、アーノルドが見たものを「蜃気楼」と説明した。だが彼が描いた物体の一つは三日月形で、皿の形ですらなかった。言葉だけが先に飛び立ったのである。
正体をめぐる諸説
- 壱
蜃気楼説(軍の見解)
山岳地帯の大気の条件で生じた光の像を、高速で飛ぶ物体と見誤ったとする陸軍航空軍の説明。
- 弐
鳥の群れ・反射説
遠くを飛ぶ鳥の群れや、日光を反射した何かを、距離と速さを読み違えて見たとする見方。
- 参
異星の飛行物体説
当時の航空機の3倍を超える速さで飛ぶ、地球外の乗り物だったとする説。
