▼6つの州から見えた火球
1965年12月9日の夕方、アメリカの6つの州とカナダのオンタリオ州で、明るい火球が空を横切るのが目撃された。
ピッツバーグの南東約50キロメートルの村ケックスバーグでは、青い煙や振動、「ドスン」という音があったとされ、何かが近くの森に落ちたと伝わった。一帯はすぐに立ち入りが制限されたが、当局は捜索の結果「何も見つからなかった」と発表した。
▼どんぐり型の物体
のちに一部の住民は、森の中にフォルクスワーゲン・ビートルほどの大きさのどんぐり型の物体があり、古代エジプトの象形文字に似た文字が刻まれていて、軍がひそかに運び去ったと語った。
1990年、テレビ番組『アンソルブド・ミステリーズ』がこの事件を取り上げ、番組で作った大きな金属製の模型を村に寄贈した。模型は今も消防団の近くに飾られ、村では消防団の主催でUFOの祭りが開かれている。
▼隕石か、人工衛星か
天文学者たちは、火球を大きな隕石(火球)と結論した。1967年の論文は、写真や地震計の記録から、落下地点はペンシルベニアではなく、エリー湖の北西岸付近だったと推定している。
2005年、NASAは現場の金属片を調べた専門家が旧ソ連の人工衛星の破片と判断したと述べたが、その記録は1980年代に失われたとした。ジャーナリストのレスリー・キーンの情報公開請求を受け、2007年に裁判所はNASAに記録の捜索を命じた。ただし、ソ連の衛星コスモス96号は火球より前に軌道から落ちていたとする追跡記録もあり、衛星説にも疑問が出ている。
正体をめぐる諸説
- 壱
隕石の火球説(有力)
火球は大きな隕石で、落下地点もエリー湖付近だったとする天文学者の見方。
- 弐
ソ連の人工衛星説
旧ソ連の人工衛星が落ちたとする説。衛星の落下時刻が合わないとする記録があり、疑問視されている。
- 参
UFO墜落説
地球外の機体が墜落し、軍が回収したとする説。物体の実在を示す証拠はない。
