▼「この子は悪魔になれ」
伝説によれば、1735年、すでに12人の子を持つリーズという女性が13人目を身ごもり、思わず「この子は悪魔になればいい」と口にした。生まれた子は翼のある怪物に変わり、飛び去ってパイン・バレンズに棲みついたとされる。
リーズ家は実在の一族で、1687年から暦(アルマナック)を出していたクエーカー教徒のダニエル・リーズは、占星術の記事を載せたことで地域から疎まれたという。一族の紋章に翼竜ワイバーンが描かれていたことも、のちの怪物の姿と結びつけて語られる。
▼1909年1月の大騒動
1909年1月16日から23日までの1週間、南ジャージーとフィラデルフィア一帯の新聞は、ジャージー・デビルに出くわしたという話を数百件も載せた。路面電車や集会所が襲われたという話まで飛び交った。
報道が恐怖をあおり、休校する学校や、仕事を休む人が出るほどだった。しかし、怪物そのものが捕らえられることはなかった。
▼州の顔になった怪物
騒動から1世紀以上たったいまも、ジャージー・デビルはニュージャージーを代表する伝説である。1982年に州へ移ってきたプロアイスホッケー(NHL)のチームは、公募でこの怪物にちなんだ「ニュージャージー・デビルズ」の名を選んだ。
広大な松林の奥に何が潜むのか。それを確かめた者は、まだいない。
正体をめぐる諸説
- 壱
動物の見間違い説(有力)
鳥や野生動物の姿や鳴き声が、恐怖の中で怪物に見えたとする見方。
- 弐
新聞の過熱報道説
1909年の目撃の多くは、売り上げを狙った新聞の報道と、それに触発された人々の思い込みが重なって生まれたとする説。
- 参
呪われた子の伝説説
リーズ家の13番目の子が本当に悪魔に変わり、いまも松林に棲み続けているとするオカルト的な言い伝え。
