▼傍受された「宇宙人の通信」
話の出どころは、アルバカーキの実業家ポール・ベネウィッツである。物理学の博士号をもち、湿度計の会社を営んでいた彼は、1979年からカートランド空軍基地の近くで、宇宙船や宇宙人の施設からの電子通信を傍受していると確信するようになった。
1980年代には、ダルシー近くのアーチュレタ・メサの地下に、グレイ型の宇宙人と人間がいる秘密基地を見つけたと考えるに至った。彼は1988年、施設に入り込む方法を記した文書「プロジェクト・ベータ」をまとめている。
▼仕組まれた偽情報
1989年、UFO研究家のウィリアム・ムーアは、ベネウィッツに意図して偽の情報を流していたことを認めた。のちの資料から、空軍特別捜査局(AFOSI)の捜査官リチャード・ドーティとムーアが、ベネウィッツに対する偽情報工作に関わっていたことが分かっている。
ベネウィッツは1988年8月ごろには心の健康を大きく損ない、入院した。彼は2003年に亡くなっている。基地の話は、ジョン・リアーら他のUFO研究家の「裏づけ」も加わって広まっていった。
▼伝説と観光
地下基地が実在する証拠は見つかっていない。ダルシー基地の話を書いた人物の一人は、のちに話を作り上げたことを認めている。
一方で、ダルシーのあるヒカリヤ・アパッチ族の議会の議長は、観光の呼び水として基地の話を歓迎した。2016年には町のカジノホテルで「ダルシー基地UFO会議」が開かれている。
正体をめぐる諸説
- 壱
偽情報工作の産物説(有力)
空軍の関係者が、機密の試験からUFO研究家の目をそらすため、ベネウィッツに偽の手がかりを与えたことで話が膨らんだとする見方。
- 弐
地下の共同基地説
台地の地下で米軍と宇宙人が共同で施設を運営し、極秘の実験を行っているとする主張。証拠はない。
- 参
観光の伝説化
真偽とは別に、町の名物として語り継がれ、イベントで再生産されているという見方。
