▼盆の終わりに現れる神
ボゼは、盆の終わりの旧暦7月16日に悪石島で行われる仮面行事である。島の若者が、赤土と墨で塗られた大きな面をかぶり、ビロウの葉の腰蓑とシュロの皮で身を包んでボゼになる。
太鼓の合図とともに3体のボゼが島の人々の集まる広場に現れ、主に女性や子どもを追い回す。手に持つ「ボゼマラ」と呼ばれる長い棒の先の赤い泥水をこすりつけられると、悪霊が払われるとされる。
▼去り際の踊り
ボゼが暴れ回った後、太鼓の調子が変わると、ボゼは踊り始める。そして再び人々を追い回した後、去っていく。
盆に戻ってきた祖先の霊を送り出す時期に、異形の神が現れて人々を清め、新しい生命力をもたらすと考えられている。
▼南の来訪神
ボゼは1989年に鹿児島県の無形民俗文化財に、2017年に国の重要無形民俗文化財に指定された。2018年には、秋田のなまはげなどとともに「来訪神:仮面・仮装の神々」としてユネスコの無形文化遺産に登録されている。
南の島の深い緑から現れるその姿は、日本の仮面の神々の中でもひときわ異様である。面の奥に誰がいるのかは、問わないのが習わしだという。
正体をめぐる諸説
- 壱
来訪神の民俗説(有力)
盆という境目の時期に異界から神が訪れ、人々を清めて生命力を与えるという、来訪神の信仰の一つとする見方。
- 弐
南方の仮面文化の伝来説
ビロウの葉の衣装や仮面の姿に、南の島々の仮面文化とのつながりを見る説。
- 参
異界の使者説
ボゼは盆に開いたあの世とこの世の境から現れる、異界の存在そのものだとする言い伝え的な見方。
